今回の投稿ではプリント中に反りが生じてしまう理由について説明します!

反りは3Dプリント中によくある問題です。ほとんどの場合、特殊なポリマーや高温でプリントされたポリマーがこの現象の影響を受けます。


この問題の解決策はいろいろありますが、
大きく分けて「ソフトウェア」と「ハードウェア」の2つの対策方法に分けることができます。

ソフトウェア

今回はPrusaSlicerを使って紹介します。

環境 : PrusaSlicer ver.2.8.0

温度

反りの問題を解決するために、一番大切な設定は温度です。

反りが発生してしまう理由の1つは「元の位置に戻ろうとする結晶構造の形成」です。
樹脂内部の結晶構造は加熱時(液相への移行中)に壊れ、冷却段階で再形成されます。
この時、急激に冷却されてしまうと反りの原因となります。そのためゆっくりと冷却することが大切です。
しかし、チャンバー内には吐出した樹脂を急激に冷やしてしまう原因が多くあり、これが冷却速度に影響し、反りの原因となります。

この反りを抑制する方法が2つあります。「温度を正確に制御する」か「テーブルとの接着力を高める」です。

まず、樹脂の急激な温度変化を減らすために、テーブルの温度を上げる必要があります。
また、チャンバー内が冷却されないようにチャンバーを密閉して空気を逃がさないようにすることをお勧めします。

庫内の温度を制御できる3Dプリンタであればより効果的に反りを抑制することができます。

これらの方法は一般的に知られている対策方法で、使用する材料の適切な温度がすでに決定していることが前提です。

しかし、ノズルの温度が低いと、これらと同様に欠陥(反り)が発生してしまいます。
これは、低温で材料を押し出した場合、内部にまだ結晶構造が含まれているためです。


「温度を正確に制御する」

造形速度

なぜ速度と温度が関係するのか疑問に思うかもしれませんが、
実は、造形速度と温度は非常に密接な関係があります。

下の図に示すように、溶融される樹脂の温度は均一ではありません。熱が一番に伝わるノズルの外側が一番高い温度となり、中心に近づくにつれて分散され、低くなります。

合わせて、ノズル内の流量についても考慮する必要があります。
下の図に示すように、ノズル内部(赤線)に材料が押し出された時、中心が最も早く移動します。
中心から遠く離れたところにある材料はゼロに近い速さで移動していくということがわかります。

上図をまとめた図

美しい画像を提供してくれた研究者に感謝します。
参考にさせていただいたWebサイトはこちらです。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2214860423003755

中心部の速度が最も早くなる理由は、中心は摩擦力の影響を受けないという事実によって説明されます

先程説明したように、低温の樹脂はより速く結晶化します。
結晶化が速くなると、反りに繋がってしまいます。

つまり、造形速度が速いと中心の冷たい樹脂が押し出されてしまい、モデルが反りやすくなってしまいます。

解決策は、プリントの速度を落とすことです。
ゆっくり吐出することでノズルの中央の材料まで均一に暖められます。

射出率

射出率もまた温度に間接的に関係しています。

上図は、押出後のフィラメントの温度がどのように変化するかを示しています。
吐出量が大きくなるほど、フィラメントの冷却にかかる時間が長くなるため、前の層と長時間接触し、強力な層間結合が形成されることになります。
この設定は品質に直接影響するため注意してください。この設定には許容可能な制限があります。

射出幅

この設定はスライス時の線幅に影響します。線幅が太くなると押し出される材料の体積も増えます。
つまり、材料が吐出されてから冷却されるまでにかかる時間が増えるため、反りの影響を抑えることができます。
送り比との違いは、送り比は体積には影響しますが、幅には影響しないことです。


「テーブルとの接着力を高める」

テーブルとの接着を強固にすることで反りを防ぐ効果が期待できます。

ブリム

接着力を高めるためにプリントの領域を広がる必要があります。そのようにブリム幅の額を増やします。プリム分離ギャップはそのままでゼロに設定する必要があります。

ブリムは10mm, プリム分離ギャップは0mm
ブリムは10mm, プリム分離ギャップは10mm

ピッチ

積層のピッチもテーブルとの接着に影響します。 押し出されたポリマーの断面は、長方形ではなく楕円形になります。

接着面積を増やすには、層のピッチを下げることをお勧めします。ノズルの直径に応じて層のピッチの制限があります。推奨される高さの範囲は、ノズルの直径の30〜70%です


ハードウェア

正しい設定と正しいプリント条件を使用していても、反りの問題が発生する場合があります。
おそらく、その理由はプリンターの物理コンポーネントにあります

プリントベッドの凹凸

ベッドの均一性も重要です。ベッドは加熱するとたわみ、凹凸が生じます。新しいファームウェア (Duet など) には、異常を自動的に補正する機能があります。これにより、ベッドを測定し、ゼロ線からの正または負の値に応じて Z 軸を上下に移動して、これらの不規則性を補正することができます

ベッドとノズルの Z 軸に沿ったゼロ点が正しく調整されている必要があります。

のり

車が正しい種類のガソリンで動くのと同じように、接着剤も正しく選択する必要があります。
昔はヘアスプレーやヘアテープなどで代用していましたが、今市場には、特定の種類のポリマー向けに設計された3Dプリンタ専用ののりが多数あります。

以前、同僚がポリアミド(PA)で印刷したが結果が得られなかったという話を聞いたことがあります。
彼はその時、一般的な文具のりを使用していました。PA用のりに変えた後、彼らはその結果に非常に驚き、必要なのりを購入しました。
そのため、反りの軽減するには材料に合った正しいのりを選定してください。

これらの方法を駆使して反りの原因を突き止め、きれいなモデルを作成してください!


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「3Dプリントの反りを抑えるために有効な設定」に2件のコメントがあります

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