今回は、3Dプリンタの駆動部として多くの機械で使用されているステッピングモータの動作原理とマイクロステップでの駆動について詳しくご紹介したいと思います。
今回の内容は、非常に高度な設定になります。基本的には変更の必要はありません。
しっかりと理解せずに誤った設定をしてしまうとエラーの原因となってしまいますので、注意してください。
動作原理
まずはステッピングモーターの原理について説明します。
磁力を回転に変換するモーターで、電荷を変化させるコイルがいくつかと、電荷を変化されるコイルがいくつかあります。
360度の動きをコイル(ポール)量で割ったものが1ステップとなります。
ポール数が4の場合、ステップ角は90度です。
マイクロステップモード
ステッピングモータは様々なものがありますが、3Dプリンタで採用されているステッピングモーターの多くは、通常1.8°のステップで動きます。つまり、1回転あたり200ステップです。
これは、より小さい動きを必要とする場合に問題になることがあります。
1つの選択肢は、何らかのトランスミッションを使用することですが、別の方法もあります。
それがマイクロステップです。
フルステップでステッピングモーターを駆動する場合、ステッピングモーターのドライバーの出力は矩形波のように見え、粗い動きになります。
マイクロステップを細かくすると、出力信号は正弦波のように見え、ステッピングモーターはよりスムーズに動きます。ただし、これには欠点もあります。マイクロステップ値を細かくするとトルクが大幅に低下し、値が大きくなると、モーターが回転するのに十分なトルクを生成できなくなる可能性があります。
通常、1/4、1/8、または 1/16くらいで、十分なトルクと、満足のいくスムーズな動きを実現できます。
次の画像は、さまざまなマイクロステップ値を選択したときに出力がどのように変化するかを示しています。ステップが細かくなると出力がより滑らかになるということがわかります。
マイクロステップの設定
実際にマイクロステップを使用する場合の手順についてご説明します。
今回はファームウェアにduetを採用している機種のコードを例にご紹介します。
マイクロステップ数を変更する際、すべてのステップ数を必ず同じにする必要はありません。
【通常時】
M350 I1 X16 Y16 Z16 U16 E16
M92 X100 Y100 Z1600 U100 E400
【変更するコード】
マイクロステップを変更します。(オレンジ色)
M350 I1 Z 32 X16 Y16 U16 E16
続いて、コードのステップ量を変更します。(オレンジ色)
M92 X100 Y100 Z800 U100 E400
マイクロステップ数は次の数(2の累乗数)から選択する必要があることに注意してください。
1, 2, 4, 8, 16, 32, 64, 128, 256
また、マイクロステップ量を変更した後は、必ずステップ量にも変更を加える必要があります。
そうしないと、移動距離が短くなったり、長くなったりします。
後者の場合、プリンターが障害物に衝突し、故障につながる恐れがあります。
例えば、Xを16ステップから32ステップに変更する場合、
コードは次のようになります:
【X32】
M350 I1 X32 Y16 U16 E16
M92 X200 Y100 Z800 U100 E400
【X64】
M350 I1 X64 Y16 U16 E16
M92 X400 Y100 Z800 U100 E400
実際に変更した場合の例
Duetファームウェアで”Config”ファイルにアクセスする必要があります。
Configファイルは“システム”フォルダの中にあります。
その後、M92とM350の2つのコードが書かれた場所を探してください。
今回はY軸の値だけを変更します。
Yの設定を16から32に変更してから保存し、メインボードのリセットを行います。
上記の画像ではM350コード値のみを変更していますが、
実際に造形する際はM92コードも変更する必要があることに注意してください。
下の動画で、この設定によってマシンの動作にどのように影響するか見ていただけます。
この動画ではY軸を100mmずつ移動させたときの動きをご紹介します。
【M350 Y16の場合】
【M350 Y32だけ変更した場合】
【M350 Y32 / M92 Y160にした場合】
1,3は同じ動きをしましたが、2の時だけ移動距離が違うことがわかると思います。
3Dプリンタでより細かな動きができるようにしたいときに参考にしてみてください!
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