今回は実際に3Dプリンタを使って速度と品質に関する検証をしたいと思います!
造形速度がプリントモデルにどのように影響するか、私はいつも興味がありました。
それでは早速実験していきます!
実施の流れ:
- CADモデルを作成する
- 1 つの速度での流線型プロファイルを作成する
- 速度を 10 から 80 まで 10 ステップで変更します
- 結論
CADモデルを作成する
今回はFusion360を使用してプリントするモデルを作成しました。
今回造形で使用する形状は下記のようなモデルです。対角を測定することによってX軸とY軸の動きの影響を確認する目的と、壁の厚みを測定するためにこのようなモデルを作成しました。
そして完成したSTLファイルをエクスポートしました。
出力したモデルをPrusaスライサにインポートしてプロファイルを作成します。
最適な造形プロファイルを作成する
すべてのテストで共通のプロファイル設定を使用して実行する必要があります。
まずは下記の造形条件で造形を開始します!
主な造形条件:
ノズル径 : 1mm、射出率 : 0.935、ピッチ高さ : 0.5mm、ノズル温度 : 200℃、最初レイヤー幅 : 1.2mm
その他の幅 : 1mm 造形速度 : 30mm/s
今回測定する箇所は下記のしるしの通りです。
各点を 10 回測定し、算術平均と理論値との差を求めます。精度を上げるために10回測定しました。
Pntは、測定箇所です。(上図参照)
avgは、10回測定した時の平均の値です。
Modelは、CAD上の設計値です。
diffはモデルの値と平均値の差の値です。
差は式で計算されています:diff = Model – avg
「diff」の値に「-」が指定されている場合は、「avg」の値が設計値より大きいことを示します。
「diff」の値に「+」が指定されている場合は、「avg」の値が設計値より小さいことを示します。
ここでジレンマが生じます。プリント後の幅の値がモデル幅より小さいですが、上の層が押し出されている樹脂の量は多いように見えます。
ですから、測定された値をモデルの測定値に近づけるためにプロファイルを変更しました。
①射出率0.935
②射出率 0.91
③射出率 0.9
④温度 210
⑤射出率 0.85
⑥速度 10mm/s
しかし、結果は満足できるものではありませんでした
そして、以前にご紹介した設定について思い出しました。
上記のブログの中でピッチについて説明した箇所があります。
レイヤーの高さを減らす必要がありました。ピッチは0.5mmから0.3mmまで下げました。
⑦ピッチ 0.3mm
上記のパラメータの調整のために造形したモデルのグラフが下記のモノです。
ポイントは前述した測定箇所です。
これらの検証から最後に確定したプロファイルが下記の通りです。
最終の造形条件:
ノズル径 : 1mm、射出率 : 0.85、ピッチ高さ : 0.3mm、ノズル温度 : 210℃、最初レイヤー幅 : 1.2mm
その他の幅 : 1mm 造形速度 : 10mm/s
上記の条件を基にして検証を進めます。
速度を 10 から 80 まで 10 ステップで変更します
ここからが本番です!
満足のいくプロファイル見つけた後、各速度でサンプルをプリントを開始します。
測定は最も遅い10mm/sから80mm/sまで、10mm/sずつ速度を変えて検証しました。
結論
aとbポイントの結果
造形速度が速くなることで壁の角が膨らんでいるように見えます。これはプリントヘッドの動きが早く吐出された材料が冷却されるまでにプリントヘッドの動きと一緒に移動してしまっているためです。
下記の画像はモデルの角の部分です。
モデルの角の形状が変形してしまっていることが見てわかると思います。
cとdポイントの結果
次にcとdポイントの測定の結果を分析します
速度が速いほど偏差が大きくなります。今回の検証では50mm/sを超えたあたりから偏差の値が急激に大きくなっています。
80mm/sの造形したモデルはモデルの側面が波打っているような形状になっています。
これが精度の低下に影響を与えています。
eとfポイントの測定
gとhポイントの測定
これらの結果もおおよそ同じ結果になっていることがわかります。
まとめ
結論としては、やはり速度は造形したモデルの精度やクオリティに影響を与えるということがわかります。
しかし、結果としておかしい点もあります。
それは速度が変わったときにグラフが上下していることです。早くなるにつれて偏差が大きくなると思っていましたが、一部、速度が上がっても偏差が少なくなるなど予想外の結果もでています。
今後はこれらの結果についてもより詳しく調べていきたいと思っています!
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