以前の投稿ではスライスソフトの設定でモデルの反りを軽減する方法について説明しました。

今回は、モデルの形状を変えることで反りを抑える方法を説明します。
反りは樹脂が冷えて固まるときの収縮するときの力によって起こります。
そのため造形する面積が大きいほど反る力も強くなります。

そんな対策として簡単にできる方法についてご紹介します。

それは、下記の画像のように大きな面を小さな面に分割して力を減らすことです。

実際にどれくらい違いがあるのか早速実験していきましょう!

モデルの底面を4つに分割して造形する

検証はシンプルなブロック状のモデルを作成して行います。寸法は100mm×150mm×40mmです。
今回は幅3mm高さ2mmの溝を作成して、テーブルとの接地面を4つに分割しました。
プリント中に溝1つに繋がってしまわないようにある程度の幅が必要です。

また、実験では、モデルの底面を4分割したことによるモデルの反りの違いを見ていただけるように、
分割しないモデルも合わせて作成してみます。

モデルの底面を4分割にしたモデル

モデルを分割しないモデル

それぞれモデルをCADで作成し、PrusaSlicerに読み込みました。

主な造形条件:

フィラメントは、一般的に反りやすいことで知られるABSを使用しました。

まず先に分割しないモデルをプリントします。

底面を分割していないモデル

結果 →モデルの角に大きい反りが発生

モデルの角は、テーブルとの接触面積が少ないため、接着力がどうしても弱くなってしまいます。
そのため、モデルの中でも最も反りやすい部分の一つと言えます。

では、造形条件は全く同じものを使用し、テーブルとの接触領域を4つに分割したモデルでプリントを実行してみましょう

モデルの底面を4つに分割したモデル

結果 → まだモデル一部に反りが見られるもののかなり軽減された

2つのサンプルの比較

比較するとさらにわかりやすいです。分割したモデルは反りの影響が少ないことがわかります。

まとめ

今回の実験でわかったように、テーブルとの接触面が増えるほど内部応力の力を受けるため反りが発生しやすいです。
そのため、ABSなどの反りやすいフィラメントを造形するときは、モデルの形状や置き方など工夫することで改善できます。


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