以前の投稿では、プレッシャーアドバンス機能について紹介しました。
今回は実際、どのように設定すればよいのかその手順について解説します。
プレッシャーアドバンスを有効にするコードについて
プレッシャーアドバンスを有効にするためのコードはこのような形で記載します。
M572 D0 S0.05
M572はプレッシャーアドバンス有効にする際に使用するMコードです。
D パラメータは、使用するエクストルーダの番号を示しています。
S パラメータが、そのエクストルーダのプレッシャーアドバンスの値になります。
今回の検証では、この Sパラメータの最適な値を見つける必要があるということです。
最適なSパラメータを見つける方法について
各フィラメントにはそれぞれ異なるSパラメータがあるため、
造形する前にキャリブレーションを行う必要があります
今回の検証では、PLAフィラメントを使用する場合の正しいSパラメータの値を探していきたいと思います。
PLAフィラメントの場合、最初の数値として下記の値をSに入れ、その後、徐々に数値を変更し、適切な値を探していってください。
これらの値は使用する3Dプリンタのエクストルーダとホットエンドとの距離によって大きく異なります。
初期値の目安
- ダイレクトエクストルーダ → S0.025~
- ボーデン式エクストルーダ(チューブの長さが200mm程度) → S0.1~
- ボーデン式エクストルーダ(チューブの長さが400mm程度) → S0.3~
- ボーデン式エクストルーダ(の長さが600mm程度) → S0.5~
- それ以上長い場合 → S0.7~
これらは値はあくまでも目安です。設定によってこれより多く、または少なくする必要があります。
確認方法
まずは、最適な値を見つけるために使用するモデルを用意します。
100mmの立方体をスライスし、底面1層、1〜2本の外周線、そして最小限またはインフィルなしで設定します。短いレイヤー時間で造形するため、十分な冷却がされていることを確認してください。
また、Zシームが1つの面の中央に揃うように設定します。
シーム位置 → 背面
造形速度は普段使用している設定を使用してください。
スライサー内のワイプの設定が無効になっていることも確認してください。
PrusaSlicerの場合
プリンタ設定→エクストルーダ
次に、最初はプレッシャーアドバンスが無効の状態で造形します。
その後、25レイヤーごとにプレッシャーアドバンスのSの値を変化させるように設定します。
値が変更されたとき、一時的に動作が停止することがありますが、そのまま数レイヤー造形を続けます。初期値よりも高い、または低い値を少しずつ試していきます。
今回はPrusaSlicerを使用しているので、このコードをPrusaSlicerのレイヤー前のカスタムコマンドgcode欄に入力します。コードは25レイヤーの造形が完了するごとに更新され、Sの値が更新されていくように設定しています。
下記のコードをカスタムGコードのレイヤー変更前のGコードにコピーすれば完了です。
; 0.2mm layer, 8 bands 5mm each, total height 40mm
{if layer_num== 1}M572 D0 S0.0
{elsif layer_num== 25}M572 D0 S0.05
{elsif layer_num== 50}M572 D0 S0.10
{elsif layer_num== 75}M572 D0 S0.15
{elsif layer_num== 100}M572 D0 S0.20
{elsif layer_num== 125}M572 D0 S0.25
{elsif layer_num== 150}M572 D0 S0.30
{elsif layer_num== 175}M572 D0 S0.35
{endif}
ここまでで、PrusaSlicerでの設定は完了です。
設定したカスタムGコードは、指定されたレイヤーになると必要なコマンドを追加されます。
下記の例では149層目にはM527コードはありませんが、150層目にコードが追加されていることがわかります。
マクロをアップロードする
下記のリンク先からマクロのファイルをダウンロードしてください。
Duetの場合
https://forum.duet3d.com/topic/6181/tuning-macros-menus-accel-jerk-retraction-pressure-advance
zip形式のファイルがダウンロードされます。
フォルダ内のPressure Advance Tuningのみを使用します。
マクロをプリンタにアップロードする方法は2通りあります。
1つ目がプリンタとパソコンを同じネットワークに接続し、マクロをプリンタのメモリにDuet Control ページを使用してアップロードすることができます
マクロ → マクロのアップロードを押します。Pressure Advance Turningを選択してください。
または、SDカードにマクロを保存し、そのSDカードをプリンタに挿入することでアップロードすることもできます。
これで検証に必要な準備は完了です。
次回の投稿では、実際に造形した結果を分析し、プリンタに反映させる方法についてご紹介します。
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