3Dプリンタで造形する際に、重要なことの一つに「造形テーブルの水平出し」があります。
テーブルの水平がでていない場合、定着不良などから造形失敗に繋がってしまうこともあります。
今回は、そんな中水平出しの際に役立つ、ハイトマップについてご紹介します。
ハイトマップについて
造形テーブルは、熱やテーブルの材質の特性など様々な要因から、目で見ても全く分からないくらいたわみや歪みが生じています。
ハイトマップはこれらの歪みをテーブル上から決まった数(今回の3Dプリンタの場合 : 300箇所)の高さを測定し、それらのポイントの高さの違いをカラー表示で表したものです。
ハイトマップは各ファームウェア事に独自のものが用意されています。(用意されていないものもあります)
下記は、Duetファームウェアのハイトマップです。
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上記の図の場合、テーブルの中央部分が青くなっているため、中央に向かうにつれてテーブルが下がっていることがわかります。
このように、ハイトマップを確認することで、作業者がテーブル歪みの状態を視覚的に把握しやすくなり、テーブルの水平出しの作業を行う際に参考にすることができるため非常に便利です。
「heightmap」ファイルは「システム」設定の中に保存されています。
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ファイルの中を見てみると、下記のように測定したポイントのZ高さが保存されています。
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ハイトマップとオートレベリングの関係
オートレベリングはテーブル上から取得したポイントのZ軸の高さを基に、造形テーブルを自動で補正する機能ですが、ハイトマップで取得した情報を基に補正されます。
つまり、オートレベリングは自動的に調整を行うプロセスで、ハイトマップはその調整に使うデータのことを指します。
ちゃんと補正されているのか検証
実際、テーブルはどのように補正されるのか実験してみることにしました。
下の図に示されているポイント選択しました。
選択した箇所のZ軸の偏差は-0.436mmを示しています。
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この状態でプリントヘッドがこのゾーンに移動すると、テーブルは0.436mmに上昇します。
この時、ノズルとベッドの間にはわずかな隙間がある状態です。(下図)
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次にZ軸の値を変更してみます。
今回はさらにテーブルが0.4mm上昇するように変更します。
「-」の値が大きいほどベッドは上昇し、「+」が大きいほどテーブルは下降します。
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今回は-0.436mmから-0.836mmに変更しました。
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その後、値を保存してハイトマップを再び確認します。
すると、変更した値がしっかり反映されていることがわかります。
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最後に、実際にプリントヘッドをそのポイントまで動かしていみます。
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すると、上記の写真のように、造形テーブルは、より大きく補正されていることがわかります。
この結果から、オートレベリングはテーブルのZ高さの値を基にしっかりと補正されているということがわかりました。
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