今回のブログでは、造形したモデルの表面にできるシーム/継ぎ目の発生を最小限に抑える方法について考えてみます。
みなさんは「造形したモデルの継ぎ目」が気になったことはありませんか?
これらの継ぎ目のことを3Dプリンタではシームと表現します。これは見た目に影響するためなるべく消したいものだと思います。
このようなシームに関する設定はスライスソフトごとに用意されていますが、
PrusaSlicerでの設定方法についてご紹介したいと思います。
シームが目立つ主な原因は、各層のラインの開始と終了時に発生する圧力の変化です。
PrusaSlicerでは、シーム位置の調整などの機能が用意されています。
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上記のようなシーム位置の調整やリトラクションの設定でも改善される場合がありますが、
その他の設定にも影響を与えるため、注意が必要です。
今回は上記のような設定以外で、シームラインを目立たなくする設定についてご紹介します。
PrusaSlicerには非常に興味深い設定があります。この設定は印刷のパラメータには影響を与えないものの、追加の動きを加えるものです。この動きは「ワイピング」のように機能し、印刷終了後に余分な樹脂を拭き取る役割を果たします。
この設定は 「吸込み中にワイプ」 と呼ばれています。
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この設定の意味は、リトラクト中にノズルが内側に動くことです。つまり、フィラメントの余分な部分を部品の内側、見えない部分へと拭き取る動作を行います。
ノズルの動きを、設定なしの場合と設定ありの場合で比較してみましょう。
設定がオフ
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設定が有効
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Gコードでノズルの動きを確認してみると、確かに動きには違いが現れました。
この動きによってシームラインにどのような影響を与えるのか実際に造形して確認してみます。
シームの違いが確認しやすいように真ん中に配置(背面)してプリントしてみます。
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結果
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「吸い込み中にワイプ」の有無の結果です。
使用しなかったモデルはわずかに飛び出しているのがわかります。使用した方はこちらも完全に飛び出ていないわけではありませんが、使用しない場合に比べて若干マシなようにも見えますが、ほとんどわかりません。
しかし、手で触ってみるとすぐにわかるのですが、吸い込み中にワイプを有効にしなかったモデルと比べると明らかに凹凸が少ないように感じます。
まとめ
今回は吸い込み中にワイプというPrusaSlicerの機能についてご紹介しました。
チェックをいれるだけで簡単に使用できるので一度使ってその違いを体験してみてください。
また、今回は検証のためにシームの位置を目立ちやすい位置に配置しましたが、
これらを工夫すればよりキレイに造形できるようになると思います。
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