PrusaSlicerで使用できるプリント設定の一つにスパイラル花瓶モードと呼ばれる機能があります。
PrusaSlicer以外にもFDM方式の3Dプリンタで使用される多くのスライスソフトに、
名称は異なるものの同様の機能が用意されています。
しかし、ぱっと、名前を聞いただけではどんなことができるのかわからないと思います。

そこで、今回のブログではこのスパイラル花瓶モードがどのような機能なのか解説したいと思います。

スパイラル花瓶モードとは?

スパイラル花瓶モードを簡単に説明すると、造形中一度も吐出を止めることなく造形をする機能です。
つまり、一筆書きでモデルを作成する機能です。

一般的な造形方法の場合、ノズルは材料の吐出を出したり止めたり、必要に応じて切替ながら造形を行っています。
つまり、3Dプリントにかかる造形時間には、実際に造形している時間に加え、プリントヘッドが移動している時間(造形していない時間)が含まれているということです。

メリット

・印刷時間が短くなる
プリントヘッドの移動やリトラクションがほとんど無いので印刷時間が短くできる。

・印刷トラブルや欠陥が少ない印刷になる
また、リトラクションなどが一切ないため、トラブルが少ない。

しかし、良いことばかりではありません。

デメリット

・スパイラル(花瓶)モードで印刷できるデータが限られる

一筆書きで造形していくという仕組み上、サポートが必要なモデルや厚みのある形状など、材料の吐出を止めて移動が必要にある形状には使用できません。
例えば穴のある壁がある形状などは、1つのレイヤーで造形ができないために印刷できません。

・壁や底が薄く、割れやすいモデルになりやすい

一筆書きで作成されるため、モデルの厚みが非常に薄く、割れてしまったりするなど強度が弱いのもデメリットといえます。

設定方法

造形の設定は非常に簡単です。
PrusaSlicerでは、「プリント設定」→ 「レイヤーと外周」の中に用意されています。
スパイラル花瓶にチェックを入れるだけで設定は完了です。
すると下記のような注意書きが表示されます。

「はい」 を押すと上記の項目が自動で変更されます。

造形条件

●材料 : PLA
●ノズル径 : 0.6mm
●積層ピッチ : 0.3mm
●インフィル : 0%
●速度 : 60mm/s

実際に、この設定で花瓶のモデルをスライスしてみると、

モデルの一層目以外が外周一周のみでプリントされることがわかります。

今回の形状は、約90mm×90mm×112mmというサイズのモデルですが、
ソフト上の計算では、わずか43分で造形できるようです。

このように、造形したい形状次第ですが、非常に有用な機能です。

おすすめの設定

スパイラル花瓶モードを使用する場合、普段の造形よりもノズルの温度を高めに設定することをお勧めします。
理由は、積層強度を強くするためです。ノズル温度を高くすると、押し出されるフィラメントの粘度が低下するため、積層時に隣接する部分と接合しやすくなります。
積層同士の接着が強くなることで、スパイラル花瓶モードの弱点である強度を補うことができます。

まとめ

スパライル花瓶モードは、うまく使えば造形時間や使用する材料の量を大きく削減することができる
便利な機能です。
ぜひ、花瓶のようなモデルを造形される際には一度使ってみてください!


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