3Dプリンタのラフトの役割と必要性とは？

FDM方式3Dプリンタを活用しているユーザなら誰しも一度はラフトについて聞いたことや使ってみた経験があると思います。
今回は、そんなラフトについてのメリット・デメリットやおすすめの設定について
解説したいと思います。

ラフトってなに？

ラフトとは、日本語に直訳すると「いかだ」です。
3Dプリンタで使用されるラフトの設定もその名前のように、造形するモデルの下に、プレート(ラフト)を造形します。
その上にモデルが造形されます。

下の画像は、左がラフト無し。右がラフト有りの画像です。

ラフトのメリット

・モデルの反りの対策になる

ラフトを使用することで、設置面積が増えるため反りやすい材料を使用する際に、
テーブルへの定着性を高める効果があります。
これにより、造形を安定させることができます。

・底面の品質を担保できる

テーブルに傷や汚れがある場合、そのまま造形するとモデルの裏面に転写されることがあります。
ラフトを使用することで、テーブルに直接プリントされないため、底面の品質が一定になります。

・設置面積が少ないモデルを造形することができる

テーブルへの定着性を考えると、できるだけ接地面積が多い方が安定しますが、
積層方向などを指定したい場合には、どうしても難しいことがあります。
そんなときに、ラフトを使用することで、安定して造形できるようになります。

デメリット

・造形時間が増える

当然ではありますが、ラフトを造形する分、造形時間が増加します。
モデルの底面積が大きいほど、ラフトの層を増やすほど時間が追加でかかってしまいます。

・使用する材料の量が増える

ラフトは造形後に取り外して捨ててしまう部分です。
そのため、それだけ余分なフィラメントを使用しなければなりません。
対象物の底面が大きくなるほど使用量も増加します。
高価なフィラメントを使用する場合など、造形コストが気になる際には不向きといえます。

このように、ラフトはモデルの品質に影響を与える要素の一つですが、
全ての造形で使用するのではなく、モデルの形状や材料によって使い分けることが重要だと思います。

おすすめの設定

①ラフトがモデルから剥れない場合

ラフトを使用する際に、造形物がラフトと完全にくっついてしまい、剥がせなくなることがあります。
そのため、PursaSlicerではラフトとモデルの隙間を調整することができる「ラフトコンタクトのZ距離」が用意されています。
PrusaSlicerではデフォルトの値として0.1mmが設定されていますが、剥がしにくいと感じた場合には、0.2mm程度に調整すると剥がしやすくなります。
ただし、いきなり値を大きく変えると今度はモデルとくっつかなくなってしまうため、
少しずつ変更してください。

また、ノズルの温度が高い場合もラフトが剥がれない原因となることがあります。
使用される材料のメーカー推奨温度の範囲の中で、できるだけ低めの温度を使用することで、
改善できる場合もあります。

②ラフトがテーブルからはがれてしまう場合

反りがでやすい材料の場合、ラフトを設定してもテーブルから反ってしまうことがあります。
そんなときには「ラフトの拡張」で、より大きな値を指定すると設置面積が増えるため、
反りを抑える効果が期待できます。

このように、ラフトの機能をうまく活用することで、より3Dプリンタの活用の幅を広げることができるようになると思います。