以前のブログで冷却ファンの有無によるモデルの積層強度の違いについてご紹介しました。
今回は、PrusaSlicerの機能として用意されている冷却ファンの設定について
詳しくご紹介したいと思います。
PrusaSlicerに用意された冷却ファンの設定について
PrusaSlicerには冷却ファンの機能が2種類用意されています。
PrusaSlicerでは、[フィラメント]→[クーリング]の中に

これらには明確にファンの動き方に違いがあります。
実際どのような違いがあるのか解説していきます。
ファンを常時オン
この機能は、すべての層で冷却ファンを有効にします。
ファンの速度は、その下のファン設定のファンスピードの最小の値以上のスピードで冷却されます。

上記の場合、常にファンの速度が100%の状態で造形されるということです。
多くのユーザがこの設定を活用されたことがあると思います。
今回は、冷却ファンの効果を確認しやすい下記のような複雑な形状モデルを使用しました。
これは材料メーカーとして有名なPolymaker社が提供しているPolytowerという有名なモデルです。
https://www.thingiverse.com/thing:2064029
上記の設定で、冷却ファンがどのように動くのか確認してみると

このようにすべてがファンスピード100%の状態で造形されることがわかります。
自動クーリング機能を有効化する
自動クーリングファンを有効化すると、1つのレイヤーの造形にかかる時間から
自動でファンスピードが調整されるようになります。
より詳しく説明すると、
1レイヤーにかかる造形時間が5秒以下の場所では、冷却ファンは100%の出力で動作します。
また、同時に自動でプリント速度を落として、5秒以上かけて造形するようになります。
次に1レイヤーにかかる造形時間が60秒以下の部分に関しては、
0~100%間で自動でファンの出力が調整されるようになります。
それ以上時間がかかるのレイヤーに関してはファンがOFFになります。
ファンスピード : 最小0% 最大100%の場合

そのため、このように造形箇所によってファンの速度が変化していることがわかると思います。
また、この5秒や60秒という時間の設定は、任意で変更することもできます。
同じページの下部の設定にクーリングのしきい値という設定が用意されています。
この設定を変更することで任意に変更することができます。

変更後


20秒以下の箇所をファン100%で造形する設定にしてみると、塔の全体がファンスピード100%(赤色)で造形されるようになったことがわかると思います。
このように同じ冷却ファンの設定でも、全く違う動きをすることが理解してもらえたと思います。
次回予告
次回は、実際にすべての場所を100%のファンスピードで造形したモデルと、自動でファンスピードが調整される設定で造形した場合、モデルの出来栄えにはどのような違いがあるのか検証してみます!
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