3Dプリンタを使って透明なモデルを作成したい場合、一般的には光造形方式を活用するのが定番だと思います。
FDM方式では積層が目立ちやすく、透明なモデルの造形は難しいと言われています。

そこで今回は、透明の材料であるPC(ポリカーボネート)フィラメントを使用し、FDM方式の3Dプリンタでどれくらい透明にできるのかを実際に検証してみました。

FDM方式でも、工夫次第で透明なモデルが作れるのか。
仕上がりの確認はもちろん、造形時のポイントもご紹介していきます。

PCフィラメントについて

今回使用するPCフィラメントは、3Dプリンタでよく使われているPLAと比較すると、
造形条件がやや厳しめです。

まず、ノズルの温度はおよそ250〜280℃が必要になります。
さらに、テーブル(ヒートベッド)の加熱も必須です。
そのため、ヒートベッド機能が搭載されているプリンタが前提となります。

また、PCフィラメントは庫内の温度が安定しないと反りやすい特徴があるため、
フルカバー仕様のプリンタを使用し、庫内の温度が逃げない環境を整えるのがおすすめです。

これらの条件を満たせば、PCフィラメントを使ったプリントにも十分チャレンジできます。

早速造形してみる!

今回は、厚みの違う2種類のモデルを用意しました。
・40mm × 40mm × 1mm
・40mm × 40mm × 5mm

プリンタは Creality K2 Plus Combo を使用しています。

造形条件

インフィル:100%
ノズル径:0.4mm
積層ピッチ:0.2mm
造形速度:30mm/s
ノズル温度:280℃
テーブル温度:110℃
補助冷却ファン:OFF

透明モデルを造形するための注意点

今回私はできるだけ透明なモデルを造形したかったため、
下記のように調整してみました。

① ノズルの温度を高めに設定する

樹脂がしっかりと溶け、層同士がしっかり密着するようにするため、
ノズル温度はできるだけ高めに設定します。
今回は280℃に設定しました。

② 造形速度を遅くする

内部をしっかり均一に埋めるため、ゆっくりに設定します。
今回は30mm/sと低速にしました。スピードを上げてしまうと内部に小さな隙間ができやすくなり、
透明度が落ちてしまうと思いました。

③ 冷却ファンは必ずオフにする

透明度を優先する場合、冷却ファンは必ずオフにするのがポイントです。
冷却が速すぎると樹脂の結晶化が進み、透明性が失われてしまいます。
ゆっくり冷ますことで、より透明に仕上げることができます。

完成したモデルと結果

造形はきれいにできました。
早速透明度がどれくらいなのか文字の上にモデルを載せて確認してみました。

1mmの厚みの場合

1mmの厚みの場合、文字として識別することはできる程度の透明度があります。
ただ、完全にクリアというわけではなく、すりガラスを通したかのような見え方です。

5mmの厚みの場合

厚さ5mmになるとなんとか文字としては識別できますが、かなり見えづらくなりました。
これ以上の厚さがあると文字が認識できなくなりそうです。

まとめ

今回はFDM方式3Dプリンタで透明の材料を使用して、
どれくらい透明なモデルができるのかを実際に検証してみました。
その結果、厚みが薄ければ、ある程度、透明度を維持することができそうです。
しかし、厚みが必要なモデルについては、透明度を維持することはやはり難しいように感じました。


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