前回のブログでは、下穴をあけたPLAのモデルに対して、インサートナットを熱圧入してみた結果を
ご紹介させていただきました。
今回は、インサートナットではなく、
3Dプリント品に直接タップ加工を行った場合、ちゃんと機能するのか確かめてみたいと思います。
データについて
今回はM6のタップをあけようと思いますので、あらかじめ下穴をあけておきます。
M6のタップをあける場合、下穴の大きさは5mmが必要です。
しかし、3Dプリントモデルはある程度収縮によって変化してしまうため、
穴径を少しずつ変化させ、どのくらいの大きさが最適なのか合わせて試してみたいと思います。
合計で4つの穴をあけ、左側からそれぞれ 4.9mm / 5mm / 5.1mm / 5.2mmにしました。

早速、造形を行います。
造形条件 :
・材料 : PLA
・ノズル径 : 0.6mm
・積層ピッチ : 0.3mm
・ノズル温度 : 210℃
・造形スピード : 120mm/s
・インフィル : 20%
造形には約21分かかりました。
完成したモデルが下記になります。

きれいに造形することができました。
実際、測定してみると、それぞれの穴は平均0.31mm程度収縮していることがわかりました。




タップ加工してみる!
早速、タップ加工をしていきます。
今回は、5mmに最も近かったΦ5.2mmの下穴をあけた場所にタップ加工をしていきます。
タップの加工には専用の工具を使用します。

固定したら早速、タップ加工していきます。
このように少しずつ回しながらタップを立てていきます。


このようにしっかりとタップが立っていることがわかります。
早速、M6のねじを用意して差し込んでみます。
すると、ちゃんとねじを入れることができました。
まとめ
今回の結果から、3Dプリント品に直接タップを立てることができることがわかりました。
精度的にも直接3Dプリンタで形状を造形するよりも、必要な大きさの下穴をあけてプリントする方が、確実できれいに造形できます。
おまけ
直接タップをきることができれば、「ヘリサート」と呼ばれる雌ねじ補強材を使用することができます。
樹脂などの素材に直接タップを立てた場合、雌ねじが弱くつぶれやすく、強い締結力を得られません。しかし、そこにヘリサートを埋め込むことで雌ねじの破損を防いだり、締結力を高めたりすることができます。

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