3Dプリントをしていると、誰もが一度はモデルの最上面が滑らかに仕上がらないという課題に直面したことがあると思います。特に押出の跡や細かな隙間、凹凸が目立つことがあります。
このような場合に役立つのがアイロニング (Ironing) という技術です。
アイロニングは、モデルの最上面の品質を改善するための工程です。
最後の層を印刷した後、エクストルーダーは再び表面を通過し、ノズルの熱によって表面を整えます。
これにより、表面の凹凸をなくし、滑らかな面が実現できます。
アイロニングの仕組み
この技術の原理は非常にシンプルです。
- 加熱と均し:加熱したホットエンドが表面を通過し、細かな突起を溶かして滑らかにします。
- 材料の押し出し:隙間を埋めるために少量のフィラメントを追加しながら移動します。
- 均一な動き:エクストルーダがジグザグや平行線など一定のパターンで移動し、均一に仕上げます。
設定
全てのトップ表面:
アイロニングはモデルのすべてのトップ表面に適用されます。異なる高さにあるトップ表面にも処理が行われるため、階段状の部分があるモデルに適しています。
最上面のみ:
アイロニングはモデルの最上面、つまり最後のトップレイヤーにのみ適用されます。
外側に見える部分だけを滑らかにしたい場合や、印刷時間を短縮したい場合に役立ちます。
全てのソリッドサーフェース:
アイロニングはモデル内のすべてのソリッド(充填済み)表面に適用されます。トップだけでなく、中間のスムーズさも重要なモデルに適しています。
メリットとデメリット
メリット:
- モデルの外観が大幅に向上。
- 滑らかで均一なトップサーフェスを実現。
- 見た目が重要な装飾モデルや機能部品に最適。
デメリット:
- 印刷時間が増加。
- 設定が不適切な場合、フィラメントの過熱が発生する可能性。
- 大きな層や高速印刷では効果が薄れる場合がある。
アイロニングの設定方法
アイロニングは、PrusaSlicerやCuraなどの人気スライサーで利用可能です。設定する手順は以下の通りです:
- スライサーの設定メニューからIroningオプションを探します。
- 移動速度、温度、フィラメントの押し出し量などのパラメータを調整します。
たとえば、最小限の押し出し量を指定する場合は、10~20%程度に設定すると良いでしょう。
アドバイス: モデルの仕上がりが特に重要でない場合は、この機能を使用しないことをおすすめします。
どんな場合に使うべき?
アイロニングは、以下のような場面で特に有効です:
- 表面の滑らかさが重要な装飾モデル。
- トップサーフェスが目立つ部品や組み立てに使うパーツ。
まとめ
アイロニングは、3Dプリントモデルの品質を向上させる便利な機能です。
特にクオリティを求められるモデルの作成には最適だと思います。
現在、私もこの機能の設定について検証を続けています。
最適な設定が見つかればまたブログにてご紹介したいと思います!
検証中のサンプル
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