3Dプリントで可動部品を作ることは、複雑でありながら非常に魅力的な作業です。
これを作成するには、CADを使ったモデリングの技術はもちろん、お使いの3Dプリンタや使用する材料などに合わせて最適なスライス設定を行うことも必要です。
今回はどのようにして直接可動する部品を作ることができるのか簡単にご紹介します。

設計上で必要なこと

可動部品を3Dプリンタで作成するには、部品間にクリアランス(隙間)を確保してプリントする必要があります。

実験

最初に必要なことは、可動部品をモデリングする前に、どれくらいのクリアランスが必要になるのか調査することです。
2つのモデルの間にある程度のクリアランスがないと簡単に外れてしまったり、反対に全く動かせなくなります。

そこでまずは、下記のような、クリアランス確認用のモデルを作成しました。
このモデルは、多くの穴がある長方形の形状です。
今回の実験は、サイズが異なる穴を空けたモデルとφ7mmの棒をそれぞれ用意し、
どの穴にぴったり通すことができるのか確認します。

下記のデータを使用されたい方は下記からDLして下さい!

また、上記のモデルとは別にφ7mmの円筒形状も用意してください。

造形テスト

上記のデータをPrusaSlicerに読み込みます。

造形前の注意事項

●造形するときは、必ず上記のように配置してください。
 →穴の向きが横に配置されてしまうと、穴の内部にサポートが立ってしまったり、造形の仕組み上、円筒の形状をうまく再現することが難しくなり、テストが困難になります。

穴を上向きにした場合
穴を横向きにした場合

●可動パーツを作成する際に使いたい樹脂を使用してください。
 →素材によって熱収縮率が異なるため、クリアランスを確認する際に異なる
結果になってしまうことがあります。

形を開始しました。

検証

完成したモデルは下記になります。

今回の条件下では、φ7.4mmの設計した穴に若干のクリアランスがありながらするっと入り、
棒を回転させることができました。
他の穴だと大きすぎたようです。

また、実際に造形した穴の径と、棒の径を測定してみると下記のような結果になりました。
やはり、熱収縮によってサイズが小さめに出てしまうようです。
これを確認するために検証が必要でした。

ピンゲージで測定(φ7.4mm)
ノギスで測定(設計値 : φ7mm)

今回の結果から可動パーツを作成するためには0.4mmのクリアランスがモデリング時に必要であることがわかりました。

次回のブログでは、今回の結果を下にモデリングを行い、組立てなしで可動パーツを作ることができるのか、その過程と結果をご紹介したいと思います。


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