FDM方式3Dプリンタを活用する中で、完成したモデルの強度に関するお悩みは、
多くの方が気になることだと思います。
FDMは仕組み上、積層方向に引っ張る力には非常に弱いです。
今回はそんなFDM方式3Dプリンタならではのお悩みを解消する造形方法についてご紹介します。
FDM方式の強度と積層方向について
下記のような箱型の形状のモデルを例にしてご紹介します。
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このようなモデルを造形する場合、多くの方は水平方向に配置して造形すると思います。
それは、サポート材が不要となるからです。形状の確認等の強度を必要としない場合、この方法をオススメします。
しかし、強度を必要とする場合にはこの積層方向は引張方向に弱くなってしまうため、不十分と言えます。
次に考えられるのが垂直方向に配置することです。
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このように配置すれば、積層方向が変わるため、強度が強くなります。
しかし、オーバーハング部分ができてしまうため、多くのサポートと造形時間が必要となります。
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このように積層方向によってメリット・デメリットがあります。
斜めにモデルを配置して造形する
そんなお悩みを解消できる方法が下記の動画で説明されています。
参考 : https://youtu.be/8NKVNwVaZU0?si=-c7EP2d_MGrUK7qY
この動画内では、「部品を斜めに配置して印刷すると強度が向上する」と説明があります。
しかし、斜めに配置する場合、テーブルとの接地面が少ないためバランスが悪く、印刷中に部品が倒れる可能性があります。
そこで、必要となるのがサポートですが、自動生成で作成した場合、大量のサポート材が必要になります。
そのため、動画ではバランスを保つためのサポートを手動で作成する方法が紹介されていました。
今回はこの方法を実際に試してみたいと思います。
まずは、単純にケース形状をモデリングし、その背面にモデルを支える構造物を設計しました。
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このまま造形してしまうと、支えの部分が取り外せなくなるため、モデルとの接地部分を減らします。今回の場合、平面間の距離を0.5mm、接続部分の厚みも0.5mmにし、造形後簡単に切り離せるようにしました。
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次に、スライサーで設定し、印刷を開始しました。
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斜めの状態でも、支えの形状を付けたことで造形の途中で倒れてしまったりすることなく、造形できました。
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設計したサポートを取り外してみると、接触点が0.5mmだとすこし大きかったのか、
少しサポートの跡が残ってしまいました。
もう少し、小さく設計すれば、よりきれいに切り離せるようになるとおもいます。
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まとめ
今回のように積層方向や設計方法を工夫することで、強度を向上させつつも、
造形時間を短縮することができます。
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