前回、3Dプリンタでネジを作ることができるのかご紹介しました。
詳細については以前のブログを見てください。
ブログの中で、強度を強くしたい場合、積層方向を考える必要があるとご説明しました。
今回は、強度を優先して造形した場合、ネジのクオリティはどうなるのか検証してきます。
前回の振り返り
前回のブログではサポートがつかない垂直方向で造形しました。
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しかし、この造形方法だと引っ張り方向に負荷がかかると、ネジが折れてしまう恐れがあります。
積層方向を変更してプリント
強度を実現しようとする場合、下記のように横向けに造形するのが、最も強度が高くなります。
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理由は非常にシンプルでFDM方式3Dプリンタは積層方向の層間の接着強度が弱いためはがれやすいです。そのため引っ張るような力には非常に弱いです。
しかし、横向きに造形することで、フィラメントの密着量が多くなるため引っ張りの強度が高くなります。
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横向きの場合造形時に中空部分が出来てしまうため、サポート材が必要になることです。
ネジが切られた部分にサポートがついてしまうため、ネジ部の品質が低下してしまうことが考えられます。果たしてネジとして使用できる品質を維持できるのか実際に造形して確かめたいと思います。
実際に作ってみる。
造形条件
●材料 : PLA
●ノズル径 : 0.4mm
●積層ピッチ : 0.2mm
●インフィル充填率 : 20%
●雄ネジ・雌ネジピッチ : 4mm
●雄ネジ呼び径 : 20mm
(雌ネジ呼び径 : 20.6mm)
造形条件は前回と全く同じで、積層方向だけを変更しました。
完成したモデル
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造形は問題なく1度で成功しました。
早速サポート材を取り外して、モデル表面のクオリティを確かめてみました。
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やはり、サポート材が付いてい場所には、バリやざらつきがでてしまっています。
前回造形したナットにネジを通してみました。
ネジを通すことはできますが、やはりサポート材が付いた部分の荒れが影響し、滑らかには動きませんでした。
強度がどれくらい強くなったのか確認するため、手で曲げてみたり、強めに締めこんだりしてみましたが、両方のモデルとも壊れるといったことはありませんでした。
まとめ
積層方向を変えても、ネジとしては使用できるということがわかりましたが、
予想通りサポートを必要としないで作成したモデルと比べると滑らかには動きませんでした。
検証が難しいため強度を測ることはできませんでしたが、積層方向は用途に合わせて最適な角度を考える必要があります。
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