3Dプリントで避けて通れない設定のひとつに「サポート材」があります。
ブログの中でも、これまで、サポート材に関する様々な検証や解説を行ってきました。
現状では、多くのスライスソフトが「グリッド」と呼ばれるサポート構造を
標準設定として採用しています。
今回使用するスライスソフト「PrusaSlicer」でも、グリッドが標準設定です。
しかし実際に使っていて、「本当にこれが最適な設定なの?」と
感じたことがある方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、最も一般的なグリッドサポートと、
近年急速に普及しているオーガニックサポートを使って実際に造形し、
それぞれの違いを検証していきます。
グリッドサポートとは
始めに改めて簡単にそれぞれのサポートについてご紹介します。
グリッドサポートは、多くの3Dプリンタで一般的に採用されているサポート構造です。
縦横に規則正しく組まれた格子状(グリッド)の形状で、造形物をしっかりと支える安定性と汎用性に優れています。

オーガニックサポート(ツリーサポート)とは
ツリーサポートは、その名の通り木の枝のように成長する形状のサポート構造です。

この構造は、必要な最小限の箇所だけを支えるように“枝分かれ”しながら形成されるため、
モデルとの接触面が少なく、サポート除去が簡単になる傾向があります。
私も以前のブログでこちらについて解説しました。
造形するモデルと設定について
今回造形に使用するのは、造形時にモデルの外側と内側の両方にサポートが必要になる形状のデータです。

このモデルを、それぞれ異なるサポート材設定で造形し、
どのような違いが出るのかを確認していきます。
【共通の設定】
・ノズル径 : 0.6mm
・積層ピッチ: 0.3mm
・造形スピード : 120mm/s
・材料 : PLA
・サポート : あり
・インフィル : 20%
グリッドで設定
まずは標準的なグリッドの設定です。

今回は、スタイルを「グリッド」に設定し、それ以外の設定は初期値から全く変更しませんでした。

内部の状態を確認してみると、

このように穴の内部を覆うようにサポートが作られていることがわかります。
すでにこの時点で、内側のサポートを外せるかどうかが心配になる状況です。
造形時間予測は5時間8分 / 材料の予想使用量は145gでした
オーガニックサポートで設定
ツリーサポートも、スタイルの設定のみを「オーガニック」に変更し、
他はすべてデフォルトのままです。



内部の様子を見てみると、グリッドサポートとは異なり、
穴の内部すべてにサポートが作られていないことがわかります。
予測造形時間は、約5時間57分、材料の使用量は約130gでした。
グリッドに比べ材料の使用量が約14gほど少なくなることがわかります。
まとめ
スライスソフト上の見た目では、明らかにオーガニックサポートの方が取り外しやすそうに見えます。
その分、サポートとしての役割を果たせるのか不安な部分もあります。
次回のブログでは、それぞれ実際に造形を行い、
サポート面の仕上がりや、除去にかかる時間などを比較・検証していきます。
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