前回の振り返り
壊れてしまった書類ケースの蓋を3Dスキャナを使用してパーツを修復することにしました。
前回のブログでは、スキャンしたデータをPeelCADを使って、モデリングに必要となる輪郭の取得や面などのエンティティ要素の作成などを行いました。
詳しい内容については前回のブログをご確認ください!
今回のブログでは、peel.CADから3DCADソフトSolidWorksにデータをエクスポートし、
形状を復元する工程までご紹介させていただきます。
SolidWorksでモデリング!
①エクスポートする
peel.CADはSolidWorksへシームレスにデータを受け渡しすることができます。
画面右上に表示されたSolidWorksのロゴをクリックすることで、SolidWorksが立ち上がります。

エクスポートが完了すると、作成したエンティティ等の情報が反映されます。
反映させる情報は任意で選択することができます。
今回は、断面の情報のみをエクスポートすることにしました。
エクスポート直後

②モデリング(大まかな形状の作成)
早速モデリングを開始していきます。
モデリングの方法は人によって様々です。
決まったやり方はありませんので、自分のやり方に合った方法で進めてみてください。
今回は私が実際に行った手順をご紹介します。
私はまず、この断面と同じ大きさの四角を作成し、実物の長さ分押し出しを行いました。


今回の形状は35mmだったため、35mm押し出しました。
押し出しできたら、モデルの厚み(1.5mm)を測った後、シェル化しました。

そうすることで、1.5mmの厚みにくりぬかれたモデルが出来ました。
次に断面の形になるようにこのモデルから不要な箇所を切り抜いていきます。
今回のモデルの場合、下記のように切り抜きました。

スキャンデータから取得した、断面は直線ではなく、波打ったようなラインのため、
ある程度それらの線と重なるようにして、切り抜きたい形状をスケッチしてください。
最後に、作成した形状を使って押し出しカットすることで、
ケースに取り付けするための爪部分の形状を作成することができました。


③モデリング(細部の調整)
今のままではエッジ部分が角ばっています。
そのため、エッジの部分にフィレットをかけていきます。


このとき、できるだけ断面に近い形状になるようにフィレットをかけてください。
実物を確認しながら、どのエッジにフィレットがかかっているのか、
実物を確認しながら作業すると間違いが少ないと思います。
フィレットをかけた後

④修正(peel.CAD)
ここで、私は勘違いしていることに気づきました。
①の工程で、端の断面のみをSolidWorksにエクスポートしましたが、
それだけでは、今回の形状を再現できないことに気づきました。
今回のミスは「中央部分に段がある」という点と「持ち手の形状」を失念していたことです。


そのため、再びpeel.CADを使って中央の部分の断面を取得する必要があります。
前回のブログで作成した面をオフセットして持ち手の中央まで移動させ、新たに平面を作成。
その後、その面と接する断面のラインを取得しました。


そして、再びSolidWorksにエクスポートしました。
すると、下記のように取得した断面のラインが新たに追加されました。

このように、追加で必要な情報ができてもPeel.CADを使用すれば、
後からでも取得することができるため、安心です。
⑤最後の調整
まずは、一段下がっている部分の形状を再現します。
新しく断面を取得したことで、段差の高さを取得することができます。

②の手順と同様に押出カットを使って、段差の高さ分モデルを削除しました。

これで段差を再現することができました。

次に、取っ手の部分を作成します。
先ほどカットした部分の平面にスケッチを書きます。

持ち手の中心を取得するために両端と中央に3本の線を作成し、
「対称拘束」をかけることで中央を見つけました。

中央を見つけたあと、円弧の機能を使って持ち手を作成しました

これで、持ち手も作成できました。
最後に、新たに作成した段差部分や、持ち手にフィレットを付ければ完了です!
完成したデータ


このようにスキャンデータを活用してモデリングを行うことで、
破損した部分の形状を再現することができました。
まとめ
今回は、3つのブログにわたって、壊れてしまった書類ケースの蓋を復元するための一連の工程についてご紹介しました。
機会があれば、作成したデータを3Dプリンタで造形し、ちゃんと使用できるパーツとして復元できたのか、別のブログにてご紹介したいと思います。
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