FFF方式の3Dプリンタは、操作が非常にシンプルで扱いやすく、個人の製作環境においても欠かせないツールになりました。
ただ、便利である反面、どうしても切削加工品と比較して見劣りしてしまう部分があります。

そこで、今回私が試してみたいのが、「3Dプリントしたモデルを切削加工で仕上げる」という方法です。

3Dプリンタの自由な造形力と、切削加工の精密さを組み合わせることで、
どこまで完成度を高められるのか。
実際に検証していきます。

FFF方式3Dプリンタの仕上がりについて

FFF方式3Dプリンタにおいて、仕上がりというのは大きく分けて2つの課題があると考えています。

1.表面の品質(積層痕)

3Dプリンタはその仕組み上、材料を積み重ねていくため、
どうしても表面に特有の段差=積層痕が残ってしまいます。

この課題に対し、以前のブログでは、積層ピッチを細かく設定したり、やすりを用いて物理的に研磨したりする対策を紹介しました。

しかし、実際に運用してみると、これらには多大な手間と時間がかかります。
また、手作業での研磨は「削りすぎ」や「角のダレ」が発生しやすく、
寸法精度を維持するのが非常に難しいという側面もありました。

2.造形の精度(寸法誤差)

もう一点は、3Dプリンタ特有の熱収縮などによる寸法誤差です。
CADデータ通りの数値で出力するのは難しく、形状にもよりますが0.1〜0.3mm程度の誤差はどうしても生じてしまいます。そのため、特に精密な「穴」の造形などは、プリントしたままの状態では限界があります。

まずは造形する

切削加工で仕上げることを前提に、まずはモデルの準備と造形を行います。

造形の設定

今回は最終的に 50×50×30mm のサイズを目指しますが、削り代(しろ)を考慮して、あらかじめモデルを 51×51×30mm と一回り大きく作成しました。

【造形条件】
●材質 : PLA
●ノズル径 : Φ0.4mm
●積層ピッチ : 0.2mm
●インフィル : 15%
●外周 : 5層

切削時に注意すべきなのが「外周(ウォール)の厚み」です。 外周が薄すぎると、削った際に中のインフィル(充填率)部分が見えてしまいます。
今回は余裕を見て 外周を5層 に設定しました。

外周2層の場合
今回の設定(5層)

造形完了

この設定で早速プリントを開始。造形時間は約32分でした。
完成したモデルがこちらです。

切削する!

早速こちらを切削で加工してみます。
バイスにワークを固定し、フェイスミルを使って加工していきます。

動画

結果

一見しただけで、その差は歴然です。触ってみると、何もしていない面とは比較にならないほどツルツルとした質感に仕上がりました。

拡大カメラで表面を比較してみます。

加工前

積層ごとに隙間があるのがわかります。

加工後

切削後は、上記のように積層痕が綺麗になくなっているのが分かります。

また、もう一つの課題だった「寸法精度」についても、3Dプリンタ単体では難しかった数値が、切削を加えたことで非常に高い精度(目標の50mmに対して極めて微差)に収めることができました。

加工前

加工後

まとめ

このように3Dプリンタと切削加工を組み合わせることで、
表面の仕上がりや造形の精度なども実現することができるようになります。
既存の技術と3Dプリンタを組み合わせることで、より幅広い用途でご使用いただけるようになります。


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