私はこれまで、3Dプリンターを使ってさまざまな造形に挑戦してきました。
その中には、フィラメント1巻では到底足りないような、数日がかりの大型モデルも少なくありません。

こうした大型造形を行う上で、最も頭を悩ませるのが「フィラメント交換のタイミング」です。
日中の作業者がいる時間や起きている間であれば、材料が切れてもすぐに交換できますが、
外出中や深夜に材料が尽きてしまうと、そこで造形が完全にストップしてしまいます。

造形が止まれば完成が遅れるだけでなく、ノズルや周囲の温度が下がることで、再開した際に層の間で剥離が起きるリスクも高まります。かといって、中断を恐れて早めに新しいリールへ交換すると、まだ十分に使えるはずの材料を無駄にしてしまうことになり、非常にもったいないと感じるのが実情です。

そんな課題を解決してくれるのが、今回ご紹介するCreality K2 Plus Comboの「フィラメントリレー機能」です。

仕組みについて

仕組みは非常にシンプルで、1つの材料を使って造形している最中にフィラメントがなくなると、あらかじめセットしておいた別のスロットの材料を自動で引き込み、そのまま造形を継続してくれるというものです。

設定方法と検証の準備

このフィラメントリレー機能を使用するには、プリンター本体とスライスソフトの両方であらかじめ適切な設定を行っておく必要があります。
重要なポイントは、CFS(Color Filament System)にセットされている材料が「全く同じである」と認識されていることです。単に使用する材質が一致しているだけでなく、設定上の色も同じであって初めて、システムはそれらを共通のバックアップ材料として認識します。

そのため、通常運用であれば、まずはCFSのスロットに同じ種類・同じ色のフィラメントをセットします。
しかし今回は、材料が切り替わった瞬間の挙動や、再開された層がどれほど綺麗に定着するのかを視覚的に分かりやすく確認したいと考え、あえて異なる色の材料をセットして検証を進めていきます。

まずは一番左側の1番スロットに、最初に使用する材料として白色のPLAフィラメントをセットしました。続いて、その隣の2番スロットにも同じPLAフィラメントを用意しました

セット出来たら次は材料の登録を行います。
Creality純正のフィラメントを使用する場合、スプールにRFIDチップが内蔵されているため、
CFSにセットした瞬間に自動で種類や色が認識され、登録まで完了します。

今回は検証のために別のPLA材料を用意したため、手動で情報を入力していく必要があります。

具体的な操作は、本体画面の中央にある「調整マーク」から設定を開き、「フィラメント」の項目を選択します。各スロットの表示下部にあるペンのアイコンをタップすると、材料の手動設定画面が立ち上がるので、ここで使用する材質と色を指定します。

設定するとこのように、PLAと表示され、左右で同じ材料が入っていることがわかります。

ここまで設定できたら、本体での設定は完了です。

次にスライスソフトで設定を行います。

まずは通常通り、造形したいデータをソフトに読み込み、積層ピッチや充填率などの基本的な造形設定を行っていきます。ここまでは特別な操作は必要ありませんので、普段通りの設定で進めて問題ありません。

準備ができたら、そのまま「送信・印刷」をクリックして、データを3Dプリンター本体へと転送します。

データ転送が完了すると、PCの画面上でデバイスの稼働状況をリアルタイムで監視できるようになります。このとき、画面の右側に表示されている「CFS設定」に注目してください。CFS設定の下部にある地球のようなアイコンを選択すると、さらに詳細なオプションメニューが表示されます。

この詳細設定の中に「自動給料システム(自動供給)」という項目がありますので、こちらを有効(ON)に切り替えます。この「自動供給」こそが、フィラメントが切れた際に次のスロットへとバトンを繋ぐ、フィラメントリレーのスイッチとなります。

これですべての設定が完了です。

実際の動きについて

造形が進み、1番スロットの材料がなくなると、CFSのインジケーターが赤く点灯して異常を知らせてくれます。今回は、リレー機能が正しく作動するかを確認するため、造形の途中で意図的にフィラメントを切断し、材料切れの状態を再現してみました。

材料切れを検知した直後にすぐ停止するのかと思いきや、実はそこからもしばらく造形が続きます。
これは、エクストルーダーからノズルまでの経路内に残っているフィラメントを、
システムがギリギリまで使い切ろうとするためです。

経路内の材料もすべて使い切ると、いよいよ自動での材料交換が始まります。
プリンターは自動で造形を一瞬中断し、ヘッドを材料交換用の待機位置まで退避させます。
すると、あらかじめ2番スロットにセットしていた緑色のフィラメントがノズルに向かってスルスルと送り出されます。

ノズルまで到達した新しい材料は、古い材料(白)を押し出すようにして、あらかじめ設定された一定の距離だけパージ(排出)されます。

このパージによってノズル内が新しい材料に完全に置き換わると、ヘッドは最後に造形していた位置へと正確に戻り、何事もなかったかのように造形が再開されました。

こうして完成したモデルがこちらです。

途中で材料が切り替わりましたが、段がずれるなどの造形不良は全くなく、
色を変えていなければどこで変わったのかわからないくらいきれいに造形できました。

設定は非常にシンプルですが、大型造形のストレスを劇的に減らしてくれます。
「夜間の材料切れ」に怯える必要がなくなり、フィラメントも無駄なく使えるのがメリットですね。


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