CreatBot D1000 Pro HS による 1987 年製ポルシェ 911 内装の再構築

CASE STUDY
更新日:2026年6月29日
推定読書時間:8分

Brent Parker 氏が CreatBot D1000 Pro HS を活用して 1987 年製ポルシェ 911 の内装を再構築した方法

精密なクラフトマンシップとデジタル製造の融合
自動車のカスタム・インテリア分野において、Brent Parker Motor Trimming 社は最高峰の技術を誇ります。パターン開発と素材の本物志向に対する妥協のないアプローチで知られる同スタジオは、伝統的な職人技と最先端の製造技術をシームレスに融合させることで高い評価を確立してきました。

彼らの仕事は、自動車の歴史と伝統への深い敬意によって定義されています。スコティッシュ・タータン生地、クラシックなコントラストステッチ、精密に磨き上げられた表面のディテールといった象徴的なデザイン要素を通じて、各車両本来の個性を残しつつ高めています。その結果、ノスタルジーとメカニカルな美しさが融合した独自のスタイルを生み出しています。

「Global Interior of the Year」をはじめとする数々の栄誉に輝くこのアトリエが、大型産業用3Dプリンター「CreatBot D1000 Pro HS」と出会ったとき、タイムレスな名車を再解釈するための新たなイノベーションが始まりました。

01

課題:名車に新たな命を吹き込む

本プロジェクトの中心となるのは、1987年製 ポルシェ 911 です。

「この車を預かったとき、『ひどい状態だった』と言っても言い過ぎではありません。すべてを取り除き、ゼロからやり直さなければなりませんでした。」

— Brent Parker

Brent Parker Motor Trimming にとって、これは単なる修復作業ではありませんでした。最新のエンジニアリングによって機能と形態の両方を高めながら、車両本来のスピリットに忠実でありつつ内装を再解釈することが求められました。

主な課題:

  • 大型パーツの一体成型: リアシートディリート(後部座席撤去パネル)やドア下部トリムなどのパーツはサイズが巨大です。従来のデスクトップ型3Dプリンターでは分割造形して結合する必要があり、接合部が強度上の弱点となって車両の振動や負荷で破損するリスクがありました。
  • 材料と熱変形の限界: 自動車の内装は長時間の直射日光に晒され、室内温度は70℃以上に達します。標準的な材料では軟化や変形が発生し、長期的な車内使用に耐えられません。
  • 純正レベル(OEM基準)の精密なフィット感: クラシックカーの内装には、極めて高い表面の連続性とラインの精度が求められます。印刷された各パーツは、3Dスキャンされた実車の形状とサブミリ単位で適合させる必要がありました。
1987年製ポルシェ911の内装再構築

02

解決策:D1000 Pro HS を核としたデジタルワークフロー

これらの課題を克服するため、チームは 3Dスキャン、CAD設計、CNC加工、そして CreatBot D1000 Pro HS による大型アディティブ・マニュファクチャリングを統合した革新的なワークフローを採用しました。

01

一体成型リアシートディリート

1050 × 1050 × 1050 mm の広大な造形エリアを活用し、ASAフィラメントを使用してリアシートディリート全体をひとつのシームレスな構造パーツとして自社内で印刷。CNC加工されたクロームリング付きスピーカーポッドと機能的な収納スペースを統合しました。

02

ワンオフのセンターコンソール

センターコンソールのトップアッパーパネル全体を圧倒的な積層精度で造形。サブミリ単位でCADデータと一致するため、職人がレザーを張り付ける際にも完璧で左右対称なフレンチシーム(縫い目)を実現できました。

03

ポッド・アームレスト統合型のカスタムドアトリム

ドア下部のポッドは複雑な中空・軽量構造としてプリント。70℃の加熱チャンバーを備えた D1000 Pro HS により、高性能な産業用フィラメントを反りや層間剥離なしで高速造形し、長年の荷重に耐える強度を確保しました。

CreatBot D1000 Pro HS によるリアシートディリートの造形

03

もたらされたインパクト:職人技のスピードをスケールアップ

CreatBot D1000 Pro HS をワークフローに導入したことで、Brent Parker Motor Trimming はカスタムカー製作のルールを書き換えました。

  • リードタイムを 70% 削減: 粘土や手作業での手削り、木製モックアップ、CNC加工の順番待ちで数週間かかっていた複雑な構造トリムパネルが、一晩(24時間以内)でプリント可能になりました。
  • 航空機グレードの最適化: FFF方式のハニカムインフィル(内部構造)を活用することで、車内の剛性を最大化しながら、従来のFRP(ガラス繊維)手法と比較して内装部品の重量を最大50%削減しました。
  • 妥協のない耐久性: 3Dプリントされたコアは高温の車内環境でも熱的・化学的に安定しているため、上から施工された高級レザーやスコティッシュ・タータン生地が日光で弛んだり変形したりすることはありません。
「CreatBot D1000 Pro HS というマシンが私たちにもたらしてくれた可能性は、無限大です…」

— Brent Parker
リードタイム削減と精度の向上

04

まとめ:自動車カスタマイズの新たなパラダイム

本プロジェクトは、世界最高峰のクラフトマンシップと産業用アディティブ・マニュファクチャリングを融合させることで生まれる変革の可能性を証明しています。

デジタルスキャンから大型3Dプリント、そして最後のハンドメイドによる内装仕上げに至るまで、すべての工程が効率・精度・職人技が共存する新たな製造パラダイムに貢献しています。本当のラグジュアリーとは、テクノロジーで伝統を置き換えることではなく、守るべき伝統と美学をテクノロジーによって引き上げ、未来へと継承することにあります。